廃液焼却設備・液中燃焼 Submerged incineration plant
プロセス概要
アルカリ金属を含んだ廃液の処理
有機物を含んだ廃液の焼却処理では、通常850℃以上の温度で、充分な滞留時間と酸素が必要とされています。しかしながら、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属を含んだ廃液を焼却する場合は、通常の焼却炉では、生成する灰分が溶融し炉の閉塞を起こすなどの問題を起こし安定した運転ができません。液中燃焼装置は、これらのアルカリ金属を含んだ廃液であっても安定に無害化処理することができる装置です。
液中燃焼装置は縦型の燃焼炉とその下部に直接取り付けられた冷却缶で構成されています。廃液は、850~1200℃の高温雰囲気に保たれた燃焼炉内に、微粒化してスプレーされ、廃液に含まれる有機物などは完全に酸化、無害化されます。さらに廃液中のアルカリ金属類は溶融塩となり、炉壁を流下し、高温ガスとともに冷却缶に流入して冷却缶内の水と直接接触することにより約90℃まで急冷されます。冷却された燃焼排ガスはベンチュリスクラバなどでダストを除去し、排出されます。一方、炉内で生成した塩類を含んでいる冷却缶の水は、5%程度の塩濃度で排出されます。
また、廃液に硫黄分や塩素分を含む場合でも炉内に当量以上のアルカリを吹き込むことにより、炉内で脱硫・脱塩素が可能であり、窒素酸化物についてはアンモニアなどを吹き込むことにより無触媒脱硝が行え、通常の焼却炉に必要なスクラバや脱硝装置が不要です。また、必要に応じて、白煙防止装置、ヒュームコレクタなどを設置することも可能です。
補助燃料として、天然ガスなどの気体燃料、重油などの液体燃料はもちろん、廃油、廃ガスなども利用可能であり、廃水、廃ガスと廃油の同時処理が行えます。希薄な廃液を処理する場合、冷却缶出口ガスの廃熱を利用した廃液濃縮装置を組み込むことで省エネルギータイプにすることが可能です。
特徴
- 高温で溶融するアルカリ金属類を含んだ廃液の焼却が可能
- 有機物の完全分解
- 急冷機構によりダイオキシン類が発生しない焼却が可能
適用例
- 農薬製造廃液、アクリル酸エステル製造廃液、有機色素製造廃液、脱硫廃液etc
実施例
農薬製造廃液及び廃ガス
処理対象物 | 廃油 | 廃水 | 廃ガス | |
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処理量 | 600kg/h | 700kg/h | 800kg/h | |
高位発熱量 | 42,000kJ/kg | 13,000kJ/kg | 4,000kJ/kg | |
運転時間 | 24時間連続 | |||
燃焼方式 | 液中燃焼炉 | |||
燃焼温度 | 1,200℃ | |||
排ガス滞留時間 | 2秒以上 | |||
燃焼容量 | 38,000MJ/h | |||
排ガス量 | 30,000m3/h(NTP) | |||
排水量 | 2,000kg/h | |||
排ガス規制 | ダスト | 80mg/m3(NTP) | ||
NOx | 500mg/m3(NTP) | |||
SOx | 300mg/m3(NTP) | |||
HCl | 70mg/m3(NTP) | |||
設置面積 | 35m×30m |