廃酸処理設備 Acid regeneration plant
プロセス概要
従来の焙焼法に替わる新しい湿式の塩酸回収プロセス
鉄鋼酸洗工程から排出される塩化鉄水溶液から、塩酸と酸化鉄を回収するプロセスです。従来は、スプレー焙焼法(ルスナー法)、流動焙焼法(ルルギ法)などの燃焼ガスによる熱分解法が利用されていましたが、弊社のプロセスは、反応をすべて液相で行います。また、本プロセスを応用して、フッ化鉄からのフッ酸回収も可能です。
特徴
- 排ガスが出ないのでNOx、HCl、ダストなどの排ガス処理が不要
- 運転開始、停止が容易
- フレキシブルな運転が可能(ターンダウン比10%程度まで)
- 熱源にスチームを使用するため、燃料が不要
- 従来の方法と比較して、省エネルギー
- 回収塩酸は共沸組成濃度以上でも可能
- 設置面積が小さい
適用例
- 鉄鋼酸洗廃液の処理、エッチング廃液の処理
実施例
処理対象物 | 鉄鋼酸洗廃液 |
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処理量 | 220kg/h |
運転時間 | 24時間連続(バッチ連続) |
処理方式 | 湿式法 |
回収塩酸濃度 | 20wt% |
回収塩酸量 | 250kg/h |
回収酸化鉄量 | 40kg/h |
設置面積 | 20m×10m |
装置フロー
プロセスの比較表
熱分解法 (PYROLYSIS) |
湿式 (WET/HYDROTHERMAL) |
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スプレー焙焼法 (ルスナー法) |
流動層法 (ルルギ法) |
湿式法 (第一エンジ法) |
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形式 | 特徴 | 所定温度に維持された、炉内に廃酸を噴霧し熱風と直接接触させることにより熱分解し、発生した塩酸を吸収して回収する |
流動層内に直接燃料と空気を吹き込み層内燃焼させ、そこに廃酸を供給し熱分解し、発生した塩酸を吸収して回収する |
廃酸を酸化後、加水分解 |
加熱方法 | 燃料を使用してバーナで熱風を発生させる |
燃料を使用して層内燃焼 |
蒸気を使用して熱交換器で間接加熱(廃熱利用可能) |
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温度 | 1,800℃(バーナ) 350~400℃(炉出口) |
800~900℃(流動層内) |
加水分解器175℃(最高温度) |
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回収物 | 酸化鉄 | 粒径: 50μm程度 かさ密度: 0.5ton/m3 比表面積: 3m2/g 塩素含有量: < 0.5% |
粒径: 1,500μm程度 かさ密度: 3.5ton/m3 比表面積: ≪ 1m2/g 塩素含有量: < 0.01% |
粒径: 20~30μm程度 かさ密度: 2~2.5ton/m3 比表面積: 40m2/g 塩素含有量: < 0.15% |
塩酸 | HCl: 18~20%(通常18%) 熱分解法は吸収設備を使用しているので共沸組成以下で回収 |
HCl: 18~20%(通常18%) 熱分解法は吸収設備を使用しているので共沸組成以下で回収 |
HCl: 18~35%(通常18%) 反応を利用しているため、共沸組成以上で塩酸を回収可能 |
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排ガス | 排出温度 | 80℃ | 80℃ | - |
NOx | 100ppm程度 | 20ppm程度 | 0 | |
HCl | 10mg/m3(NTP) | 10mg/m3(NTP) | 0 | |
Cl2 | 3mg/m3(NTP) | 3mg/m3(NTP) | 0 | |
Dust | 大 | 大 | 0 | |
排水 | スクラバ排水 | スクラバ排水 | ケーク洗浄排水 | |
操業 | 負荷調整比 | 70% - 110% | 70% - 110% | 10% - 110% |
運転開始/停止 | 煩雑 終了時のパージが必要 |
煩雑 終了時のパージが必要 |
容易 短時間で可能 |
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法規 | 危険物取扱 | 危険物取扱 | 圧力容器 |